ビーチカジノ暮らしで、なんだかムサ苦しくなっちゃいました。
収支は20万円ちょっとのオン。
イェィ!
さて、女性のみなさま。
男のコをナンパしたことってあります?
俗にいう“逆ナンパ”ってやつ。
クラブなんかじゃままある話だとは思うんですけど、
歩行中だとかオープンな場所でのいわゆる“ストリート系”の逆ナンパって、
自分はあんまり聞いたことがないですよね。
その昔、こんなことがありました。
場所は忘れもしない、井の頭線渋谷駅構内。
季節はちょうど今くらいの忘年会シーズン。
時刻は終電の2~3本前くらいだったでしょうか。
当時ロック小僧だった自分は、
ライダースジャケットにタイトベルボトムにウエスタンブーツ、といういでたちで、
おまけに「俺ってロック・・・」みたいな風を周囲になびかせながら、
ジャラジャラとシルバーアクセを鳴らして歩いている、
まあ、端的に言えば恥ずかしい野郎でした・・・(泣)
当時、まだ自動化されていなかった改札を入ってホームに向かおうとしていた、まさにその時です!
背後から小走りに駈けてくるヒールの音が聞こえてきて、
よけようとした瞬間、ほとんど体当たりするみたいな勢いで一人の女性がぶつかってきて、
自分の右腕にしがみついていました。
びっくりして、そのやや小柄な女性を見つめかえすと、
何やらおびえた目つきで、
「ごめんなさい・・・。いま痴漢に追われてるんです。少しのあいだでいいので彼氏のフリをしていただけませんか」とおっしゃるのです。
しがみついてくるその手もぶるぶる震えています。
まだまだ血気盛んで、しかもロック風をびゅうびゅう吹かせていた自分は、
やおら騎士道精神にあふれかえり、
「なんなら、そいつにひとこと言ってあげましょうか?」
とたずねました。
すると、
「いえ、振り向かないでほしいの! そんなことすると、また何をされるかわからないので・・・」
と、何やら初対面の痴漢じゃないようす。
まだ“ストーカー”なんて言葉がなかった時代ですが、
どうやら長きにわたってつきまとわれているらしいことが窺い知れました。
と同時に、痴漢といっても、いわゆる“おさわり痴漢”ではないこともわかりました。
何やら根深いものがありそうです。
彼氏のフリなんかで一時しのぎできる問題なのか?
そもそも自分ごときが、そういう問題に首をつっこんでいいのか?
瞬時にそんな疑問がいくつもわきおこりましたが、その女性は心底からおびえているようすで、
ほとんど有無を言わさず、ぐいぐい私をホームの先まで引っぱっていきます。
こうなったら痴漢だかなんだかしらないけれど、
コトと場合によっては、そのつきまとい野郎をとことん叩きのめしてやろうじゃないの。
まだまだ甘っとろかった自分は、こんなふうに頼られた以上、あとには引けないと思い、
わけがわからないままに、そう決意しました。
ホームの先端まで来ると、女性は私の体の陰からおそるおそる背後をふりかえり、
しばらくきょろきょろしていましたが、どうやら敵はいなくなったようすです。
が、私にしがみついている手はまだ震えています。
女性がようやく私の腕から手をほどいたのは、
井の頭線の明るい車内に入ってからでした。
「ごめんなさい。突然、変なお願いをしちゃって」
さっきまでぴったりくっついていたのとはうってかわり、
私から半歩離れたところに立って、恥ずかしそうにうつむいています。
光の下であらためてその小柄な女性を見ると、
パリッとしたツーピーススーツにコートをはおった、
いかにもキャリアOL風のお姉さまです。
こちらの風体とはどう考えてもバランスが悪く、
たとえフリとはいえ、そうとう無理のあるカップルです。
どこまで行くんですか、とたずねると、こちらが降りる駅よりずいぶん先の駅名が返ってきました。
心配なので近くまで送りますよと言うと、もういないようなので大丈夫です、と首を振ります。
そんなわけにはいかない、せめて駅まで見届けましょう云々と申し出たものの、
なぜか頑として首を横に振ります。
「本当にいいんです・・・。ごめんなさい・・・」
しまいには、なんだか押し問答のようになってきて、
今度は自分のほうが“つきまとい野郎”のような雰囲気。
周囲の乗客の視線が冷たく刺さってきて・・・。
結局、女性は最後まで私の申し出を拒絶し、
こちらもなんだかバカらしくなってきたので、自分の駅で降りることにしました。
「じゃあ、くれぐれも気をつけて帰ってくださいよ」
それだけ言い残して、自分は井の頭線を降りました。
ところが・・・・・・。
ホームに出てものの五歩も歩かないうちに。。。
ふたたび女性が車両から走り出してきて、
「やっぱりまだいたわ!」
そう言いながら、
またも私の腕をとって、ずんずんホームを改札のほうへ引っぱっていくのです・・・
・・・・・・・・・・・・
気がつくと、われわれは駅から1分くらいのところにある公園のベンチで激しくキスを交わしていました。
と言っても、私のほうがベンチに座らされて、女性が私の上に馬乗りにまたがり舌をねじこんでいるような状態で、ほとんどこちらが犯されているようなあんばいです。
おまけに、まったくそうは見えなかったんですが、
女性の口からは酒の匂いがぷんぷん漂っていて、しこたま酔っているようすです。
二人きりになったとたん、態度も豹変し、
私のことを「少年!」「少年!」と呼びながら、
「少年はあたしとセックスしたいんでしょう!」
などとあけすけなことを言います。
こちらはもう狐につままれているような気分で、
激しく口を吸われながら、気がつくとズボンのチャックを下ろされ、下着も下ろされ、むき出しにされていました。
それから一時間あまりにわたって、
われわれは結合以外のあらゆる事々をしつくしました。
ただひとつ、なぜだか最後の一線だけはスルリとかわされちゃったんですが・・・
で、女性が問わず語りに話してくれたのは、こんな内容でした。
・じつは婚約者がいて一ヵ月後に入籍すること。
・今日が会社の最終出勤日で、送別会だったこと。
・このまま人生のレールに乗ってしまうことに不安があること。
・渋谷でU次郎を見かけたときに純粋そうな少年に見えたこと。 (←どんな目をしてるんでしょーか・・・)
・酔った勢いもあってナンパしてみたくなったこと。
・痴漢云々というのはもちろんウソであること・・・
なんというんでしょうか・・・
これがいわゆる“マリッジブルー”というやつなんでしょうかね。
こういう気持ちって、女性の方はみなさんあるのかな?
結局、彼女はもう穿けないくらいに冷たく濡れたショーツとパンストと、さらには右手薬指のゴールドの指輪までをも私のポケットに押しこみ、“歩いて帰るね”と言い残して、夜道を消えていきました。
ベンチにあられもない恰好で伸びているU次郎・・・
何もしてあげられなかったU次郎・・・
何ひとつ気のきいたことを言ってあげられなかたU次郎・・・
ほっそりとしたキレイな生脚の後姿が忘れられないです。